治療の過程では、薬物治療だけでなく、人生相談やメンタル相談のような形になることがほとんどです。患者さんのお話を伺って、その方の人生を理解し、勉強させられることが多い毎日です。ありがたい仕事だと思っています。
そうならないためには、自律神経失調症状や不眠の状態の初期に対処することが大切です。
以下の各症例は実際に当院に来院された患者さんのお話です。
• 90代の義父は近所でも評判の自分勝手で怒鳴り散らす難しい人で、70代の夫も義父には逆らえず言いなり。
• その中でずっと嫁を務め、今も家事全てをこなし、家業の会社を手伝い、認知が出てきた義父母の介護に対応している。
• 義父が他人を家に入れることは許さず、夫や夫の兄弟も介護は嫁がやるのが当たり前だと言われ、感謝の言葉一つ掛けてもらえない
<ご本人のお話>
• 「子供たちもお母さん家出したらと勧めますが、私が放り出したら皆が困る。自分でも馬鹿だと思うけれど、やらないと気が済まないのです。」
<治療の経過>
• その時々によりその方に合った漢方を処方しています。
• 一見現状から抜け出した方が良いように思いますが、「嫁の仕事」をやり遂げることが、この方の人生の生きがいになっています。
• 必要なのは、現状から逃れることではなく、自分で納得することです。来院されるたびに、「本当に素晴らしい、立派!誰にもできないことね。」と少しでも報われた気持ちになられるよう、労いの言葉を掛けています。また、なぜそこまで頑張らなくてはいけない気持ちになるのかを、やはり介護をやり切った実母のことを話題にして考えていただいています。
<ご相談内容>
子供のいたずらでイライラして虐待寸前になると来院されました。
• コロナ下で学校が休校になり、夫は在宅勤務で家族全員が狭いマンションに閉じこもっていてイライラが最高潮に達した。
• 過食に走り、6kgも体重が増加して自己嫌悪に陥っている
<治療の経過>
• 込み上げてくる感情を、呼吸を通して肺から外に出す、甘麦大棗湯という漢方やイライラを軽減する抑肝散加陳皮半夏を処方しました。
• ストレス発散のために、ボクササイズのゲームをお薦めしたところ、症状がなくなりました。ボクササイズを行い、ボクササイズという身体言語で心にある攻撃性を外に出すことで、心にモヤモヤやイライラを溜め込まないことが改善につながりました。